ベルベリン

by Tateki Matsuda

ベルベリンとは?

ベルベリンはアーユルヴェーダや中国伝統医学で古くから利用されてきた植物性アルカロイドです。バーバリー、オレゴングレープ、ツリウコンなどの植物に含まれており、抗菌、抗プロトゾア、止瀉薬として使用されてきました。最近の研究では、主に代謝障害を持つ人々における血糖値管理、血中脂質、肝機能マーカーの改善効果が注目されています。

主な効能

2型糖尿病患者を対象とした臨床試験では、ベルベリンが糖尿病治療薬と同等の血糖降下作用を持つことが示されています。また、メタボリックシンドロームやPCOS(多嚢胞性卵巣症候群)の患者にも有効であることが示唆されています。さらに、C反応性タンパク質(CRP)といった炎症マーカーの低下や、再発性大腸ポリープのリスクを減少させる可能性も報告されています。

ベルベリンの主なメリット

・糖尿病治療薬と同等の血糖降下作用
・血中脂質や肝酵素の改善効果
・体重減少、体脂肪率の低下
・PCOS患者のホルモンバランス改善
・炎症マーカーの低下

体重減少と免疫機能への影響

ベルベリンは、代謝に関連する疾患を持つ人々に対して体重減少を促す効果が示唆されています。また、炎症マーカーの低下を通じて免疫機能を調整する働きも報告されています。さらに、結腸直腸がんの既往歴がある人々に対して、大腸ポリープの再発を抑制する効果もある可能性が示されています。

抗菌効果

ベルベリンは古くから抗菌作用が注目されてきました。抗ウイルス(HIV、コロナウイルス、インフルエンザ)、抗菌(H.ピロリ菌、V.コレラ菌、S.アウレウス菌)、抗真菌などの効果が確認されています。ただし、これらの効果を示す研究の質や量にはまだ課題があります。

副作用と注意点

ベルベリンは一般的に安全とされますが、高用量(1日300mg以上)で消化器系の副作用(下痢、便秘、腹痛など)が報告されています。また、血糖値を下げる作用があるため、低血糖のリスクもあります。他の薬との相互作用にも注意が必要で、特に薬物代謝に関与する酵素を阻害するため、医薬品との併用には注意が求められます。

作用メカニズム

ベルベリンは、エネルギー恒常性を調節するAMPK、PKC、SIRT1などの酵素を介して作用します。これらの酵素は代謝、免疫、炎症に関連する生物学的プロセスを調節する重要な役割を果たします。特に、AMPK(アデノシンモノリン酸活性化プロテインキナーゼ)という酵素を活性化し、体内でエネルギーの使用と脂肪分解を促進します。これにより、血糖値や血中脂質の管理がサポートされます。さらに、ベルベリンはインスリン受容体を増加させ、インスリン感受性を改善します。

推奨摂取量と注意点

標準的なベルベリンの摂取量は1日900〜2,000mgで、食事中または食後すぐに分割して摂取することが推奨されます。摂取量が多すぎると消化器系の不快感を引き起こす可能性があるため、適切な量を守ることが重要です。

 3~4回に分けて食事の際に摂取するのが理想的です。食事後の血糖値や脂質の急上昇を抑える効果を最大限に引き出すため、食事中または食後すぐに摂ることが推奨されています。過剰摂取は胃腸の不調(腹痛や下痢)を引き起こす可能性があるため、適切な量を守ることが重要です。

 


 

 

 参考文献

ベルベリンに関する一般情報

Ai X et al., (2021), ^Hu Q et al., (2019), ^Gao Y et al., (2020)

代謝効果と血糖コントロール

Xie L et al., (2019), ^Jing G et al., (2021), ^Ye Y et al., (2021)

減量、脂質調整

Li Z et al., (2023), ^Asbaghi O et al., (2020), ^Kong W et al., (2009)

 


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